古い街並みの続くエリアの中で、街全体がデザイン統一され、周辺を歩いても他のエリアにはない街並みを建築家と共につくりだします。
緑豊かな街は、隣地同士の関係が遮断されず、快適なコミュニティを形成します。出来上がる街並みは、地域への景観配慮として、また、緑などの管理計画は住民の共有意識・コミュニティの創造として機能します。
街のデザインと住む人たちの両方の境界をなくすことで豊かな生活環境を確保します。

各区画の建物の周囲に十分な隣棟間隔を確保するために、あらかじめ建物の範囲を『街並み協定』で取り決めます。
建物同士の距離を空けることで窓を大きく開けられ、通風・採光の確保と通路や植栽帯としての用途を両立します。
そして、その空地を統一された外構素材で仕上げ、樹木の配置などを計画的に行うことで、敷地境界線の位置に左右されない(生垣などで区画されない)境界の街ができます。

この外構計画はオープン外構といわれ、建物と塀などの間にある死角ができにくく、防犯上も効果が期待されます。

各建物は、視線・防犯・通行・隣棟間隔を満たしながら配置します。その上で、街全体をひとつの公園として考え、外構・緑化計画を行います。
家と道路とを心地よくつなげ、街全体に広がりを与えるとともに、連続感のある美しい街並みをつくりあげるために、駐車場部分・アプローチ部分等の外構仕上げを統一します。

駐車スペース等、外部空間で一番面積の広い部分は、春日原の街の緑の面積をできる限り増やすような植生ブロックで仕上げます。このブロックは、駐車場床仕上げとしての機能と、穴のあいた部分には芝生などの地被類を植えることで緑化された空間を作り出す機能があります。

インターロッキングはレンガのようなブロック素材です。このブロックで敷地同士を横切る直線的なデザインを計画します。このラインは、各建物へのアプローチイメージとして機能し、建物玄関のタイル仕上げと道路をつなぎます。

建物の外観は『建築ルール』により、素材を統一します。道路側には、街の顔となるようなルーバーといわれる横桟の格子素材を利用します。壁面全体は、そとん壁という自然素材でできた塗り壁で、無機質になりがちなルーバーとの調和を図るよう計画します。

それは快適な生活環境を街全体でつくりあげるための約束事です。
『街並み協定』は街全体の豊かな空間確保など、『建築ルール』は建物の仕様統一による街のデザイン計画などを規定したものです。
街並み協定で建物の建築可能範囲や、駐車場の位置、外構床仕上げの範囲をあらかじめ取り決め、その間の空間を確保します。
これらは、後々まで快適な住環境を維持するとともに、資産価値を高めることにつながります。
また、建築ルールで建物の構造、屋根形状、素材の統一などを行うことでコストメリットも期待できます。